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10年後に受け取った手紙
約10年にわたり訪問させていただいたご利用者様がいらっしゃいました。
その方は進行性の難病を抱えておられ、薬が効いている間だけは身体を動かすことができましたが、次第にその時間も短くなり、自由に動けることが難しくなっていきました。
私が関わり始めた頃、ご利用者様は転倒を繰り返し、歩行もままならない状態でした。
最初の頃はご本人も娘様も人見知りで、人との関わりに対して少し距離を置いているように感じました。
そのため、当初は私自身も緊張していたことを覚えています。
それでも少しずつ歩行練習を重ね、リハビリで散歩に行くことができるようになると外に出る喜びを取り戻し、リハビリをとても楽しみにしてくださるようになりました。娘様も次第にお母様に対する思いや不安な気持ちを相談してくださるようになりました。
病気が進行しリハビリ以外はあまり動けなくなっても、花見と紅葉を見に行く散歩を目的にリハビリを一生懸命に頑張ってくださいました。
毎年春や秋はリハビリの散歩を欠かさず、ご自宅には散歩中に拾ったつくしや桜の押し花の張り絵がたくさん飾られていました。それらを嬉しそうに眺める穏やかな笑顔は、今も私の心に深く刻まれています。
最期までリハビリを通じて関わらせていただきました。
訪問した時には、いつも笑顔を見せてくれました。お亡くなりになった後、娘様から一通のお手紙をいただきました。
その手紙には
一緒に悩んでくださり、一緒に笑ってくださり、たくさんのやさしさを受け取りました。
長い間、母を大切にしてくださりありがとうございました。
と書かれていました。
約10年にわたるお付き合いは療法士として私自身とても大切な時間でした。
私は、【その人らしさ】を支える専門職として今でもこの手紙を大切にしています。